FIPとは?防御率では見えない投手の「本当の実力」
**FIP(フィップ)**は、投手の実力を「その投手自身がコントロールできる結果」だけで評価する指標です。正式名称は Fielding Independent Pitching=守備から独立した投球。防御率(ERA)の弱点を補うために作られました。
防御率(ERA)の弱点
防御率は「自責点 × 9 ÷ 投球回」で計算され、長く投手評価の中心でした。しかし防御率には、投手のせいとは言い切れない要素が混ざり込みます。
- 守備 … 野手が捕れば凡打、抜ければ安打。投手の責任ではない
- 運 … 打球がどこへ飛ぶか、走者を背負った場面かどうか
- 味方の失策絡みの失点の扱い
つまり、同じ投球内容でも守備の上手いチームなら防御率は良く、守備が乱れれば悪く出る。防御率だけでは投手本人の力を切り出せないのです。
FIPが見る「投手だけの責任」
FIPは、守備が一切関与しない3つの結果だけに注目します。
- 奪三振(K) … 野手を介さず自分で取ったアウト
- 与四死球(BB・HBP) … 完全に投手の責任
- 被本塁打(HR) … 守備では防げない失点
これらを重み付けして合計し、防御率と同じスケール(見た目の数字感)に揃えたものがFIPです。
FIP = { 13×被本塁打 + 3×(与四球+与死球) − 2×奪三振 } ÷ 投球回 + C
末尾の C は、リーグ平均のFIPが平均防御率と同じくらいになるよう調整する定数です。
目安:防御率と見比べる
FIPは防御率と同じ物差しで読めます。
| FIP | 評価 |
|---|---|
| 2点台 | 支配的なエース |
| 3点台 | 信頼できる先発 |
| 4点台 | 平均的 |
| 5点以上 | 内容に課題 |
面白いのは**防御率とFIPの「ズレ」**です。
- 防御率 < FIP(防御率の方が良い)… 好守備や幸運に助けられている可能性。今後、失点が増えていくかも
- 防御率 > FIP(防御率の方が悪い)… 守備の乱れや不運で数字が悪化。本来の力はもっと上
甲子園での使いどころ
甲子園は数試合の短期決戦。防御率は1試合の大量失点で簡単に跳ね上がります。奪三振・四死球・被本塁打というブレにくい要素で見るFIPを併用すると、**「本当に打ちにくい投手は誰か」**が見えてきます。
甲子園ラボのランキングでは防御率とFIPを並べています。両方を見比べて、数字のズレから投手の実像を読む——これがFIPのいちばんの使いどころです。
その他の投手指標は指標解説にまとめています。